もの静かで、おとなしい吸血鬼の少年。同じ吸血鬼からはできそこない、と呼ばれている。
不老不死ではあるが、変身、催眠、怪力など吸血鬼特有の能力をまだ得ていない。体格も年齢を考えると小さく、非力ゆえに一族の中でも下位に位置付けられる存在。太陽光への耐性がやや強いことが特徴。
出生には謎が多く、アースラの双子の弟、妖魔との混血児、人間との混血児などさまざまな噂がある。実際にはアースラが赤子の時に神父であるパトリックから奪った少年である。
謎めいた出生や特徴により一族の中には居場所がないと感じている。吸血鬼として人間から精気を吸うがそれだけではない別の力も有している・・・。
アルザス、黒の森に近いストリゴイの村に住む、ごく普通の人間の少女。おとなしく、真面目で信仰心が強い。シャレイとは黒の森の手前にある丘で出会うようになる。
両親、弟を幼くしてなくし、現在は村長であるダールトンの家に引き取られ、家事手伝いをしている。弟のラウールは黒の森のヴァンピールにさらわれた、という噂もある・・・。
ライン川を挟み、ドイツ・シュヴァルツヴァルトからフランス・アルザス地方一帯を支配するヴァンピールの王。その齢は千歳以上という噂もあり、その配下のヴァンピールは二千を超えるという。はるか遠い東方で誕生したのではないか、とも言われている。
赤子だったシャレイの声を聞き、神父であるパトリックから奪い一族として育てることを決めた。
吸血鬼化を自身の力で行った、数少ない真祖でもある。
インキュバス、サキュバスを束ねる魔女の長たる女吸血鬼。アースラの腹心であり、相談相手でもある。
魔女としての修行を終えた後にアースラ自身から吸血鬼化されたため、吸血鬼としての能力に加えて魔力、魔術の知識なども豊富に持つ。そのため一門でも別格として畏怖されるべき存在である。ときにセレストは下級妖魔を地獄から呼び出し使役するなど、吸血鬼を超えた力を発揮する。
アースラの意向を汲んでシャレイを擁護する行動をとる。
ヴァンピールの少女。シャレイと共に育った、姉のような存在。その性格は凛烈。シャレイへの複雑な気持ちを抱く。
ヴァンピール同士から生まれた純血種として将来を嘱望されている。また、魔術上のセレストの弟子でもあり、初歩的な魔法を操れる。
レティシア同様、純血種の少年ヴァンピール。エリート意識が高く、レティシアに対する恋心からシャレイを憎悪する。
ヴァンピールとしての能力は高く、催眠、変身などを可能とする。
一族の中でもアースラを快く思わないリュカの一門に属する一人。
アルザスの地方領主、称号は伯爵。かつてはジャンヌ・ダルクのオルレアン解放にも参戦したことのある元軍人。現在はアルザス地方で商工ギルドの顧問を務める。
アルザス各地で頻発するヴァンピールの襲撃の調査のため、神父パトリックの行方を追う。
ストリゴイの村を治める村長。人の好い初老の男で、妻のイレーヌとともに友人の娘としてシエルを預かっている。
明るく親切な性格で、村長として村人からは慕われている。
ストリゴイの村人、ダールトンの妻。預かっているシエルを娘のように愛しており、洗濯、掃除、料理はもちろん裁縫、菜園での仕事、医術の知識など当時の婦人が必要としていたこと全てを教え込んでいる。しっかり者で、やや慎重な性格と繊細な観察力の持ち主。
ストリゴイの村の青年。農家の三人兄弟の末っ子。シエルとは幼なじみで、ひそかな恋心を持つ。長身、整ってはいるがどこか間の抜けた風貌と、おしゃべりが特徴。素直で親切な働き者だが、楽天家で考えの足りない一面も。
リクヴィルの町でパン屋を営む娘。自分では自覚していないが「第三の目」と呼ばれる霊感の持ち主。悪意、凶兆、凶運、闇の存在を感じることができる。
マクシミリアン将軍の右腕で、アルザス地方一の剣の達人。元々が傭兵で、現在は将軍の個人的な警護と秘書的役割を勤めている。口がうまく、なんともいえない軽妙洒脱な人柄を持ちながら、飄々と相手の心臓に剣を突き立てる冷徹な一面も持ち合わせる、底の見えない男。
ルー・ガルー(狼人間)の生き残りの双子の美少女。フラムはやや強情、勝気、フルールはややのんびりとした性格が特徴。ルー・ガルーの一は15年前にアースラに滅ぼされたため復讐を誓う。合体して獣身となることで並のヴァンピールをはるかに凌ぐ強力な身体能力を発揮することができる。
カラミテの村の神父。身ごもったエミリアを連れて黒の森へ逃げるが、アースラ、セレストに出会い、生まれたばかりのシャレイを奪われる。エミリアの死で神への懐疑、信仰への絶望からユーラシア大陸の各地を放浪。放浪中にヴァンピールに対抗するための魔法や呪術等を調査していたとも言われる。
十五年後、左目を失った姿でフランスへと戻るが、旅の途中で教会と対立。異端として追われながらもアルザスでかつて奪われた赤子、シャレイの行方を追い始める。